春も進んでくると、風の強く吹く日が増えてきます。
でも、冬の頃の冷たい北風から、少しづつ東の風から西南の風へと変わってきます。
このころの季語は、東風(こち)、木の芽時、春の雲、春嵐と春疾風(はるはやて)などがあります。
東風は、こちと読みます。
春先に吹く風のことです、まるで、春を運んでくるように吹いている風を詠みます。
桜が咲いているころの桜東風、朝に吹く朝東風、夕には夕東風、そして強く吹く強東風も詠まれています。
何と言っても有名な歌は、菅原道真の和歌
・東風吹かば匂いおこせよ 梅の花 主なしとて春をわするな
でしょう。
・しなやかな一樹有りけり東風月夜
・花散らす音に目覚める東風の朝
木の芽時は、木が芽吹く時期を詠みます。
この時期は、冬を過ごしてきた人の体にも変調が起きやすいようです。
・ひと雨に山がふくらむ木の芽時
・くさみして目くすり差して木の芽時
春の雲は、空にふんわり浮かぶ雲を詠みます。
すこし、霞んだ空に浮かぶ、やわらかそうな雲です。
・浜ひとり歩みを止めて春の雲
春嵐と春疾風(はるはやて)
春嵐は、春先に吹く雨を伴うような強い風。
春疾風は、雨はともなわい春のほこりっぽい突風。
・古寺の参道濡らす春嵐
・拝殿のしめ縄ゆらす春疾風
季節の変わり目の時期の季語でした。