歳時記から季語をたのしみます

歳時記から、今の季節にふさわしい季語を選んで、季節を実感しましょう

春の歳時記から 春の霙(みぞれ) 

早春の季語として

春の霙 があります。 はるのみぞれ です。

 

立春をすぎると、暦の上では春と言っても、

まだまだ寒く、冷え込むと雪になることがありますが、

やはり間もなく雨に変わることが多くなってきます。

春の雪と雨とが混じって降るみぞれを季語として、はるのみぞれと詠んでいます。

春の霙 春霙 

 

人恋し春の霙の桐火桶     富安風生  

松の葉にざらりと積もり春霙  笠原風凛

春霙鉢の金魚は沈みけり      静石  

 

 

春なので、雪ではなく霙になったと詠むのでしょうか?

それとも、春とは言へ、まだまだ寒いと詠むのでしょか?

似たような

春の霰 はるのあられ

春の霜 はるのしも

 なども詠まれています。

春の歳時記から 春浅し 

春の歳時記の中に、早春よりもう少し早い時期を詠む

春浅し (はるあさし) があります。

浅き春浅春(せんしゅん)とも

 

梅のつぼみが膨らんで、ひとつ、ふたつ、と花が咲いてくるころ、

早春よりもっと短い期間を詠むようです。

 

白き皿に絵具を溶けば春浅し   夏目漱石の句です

 

立春をすぎて、まだまだ冷たい風が吹いて寒さを感じるけれど、何か、少し春を感じる頃なのでしょう。

歳時記から季語 ”マスク“ を

“マスク”は、そもそも冬の季語でした。

風邪を引きやすい冬の季節に使うマスクでしが、花粉症なるものが現れて、冬に限らず春や秋にもマスクは使うようになりました。

そこで、俳句の世界では、冬のマスクとは、区別して、“花粉マスク”のように用途別マスクを使うことになりました。

ちなみに、“花粉マスク”は、春の季語になりました。

最近のコロナ禍の時は、年中 マスク を使ってましたが、季語には、なりませんね、コロナマスクは😷

季語“マスク”を使った俳句

 

  マスクして我を見る目の遠くより

              高浜虚子

 

歳時記から 季語 [秋惜しむ] を感じます

秋の季語 ”秋惜しむ” 

 

秋惜しむ は、あきをしむ と詠みます。

 

過ぎていく秋を惜しむ心情をいう言葉です。

春惜しむという季語もあるようですので、秋と春は、過ごしやすく、これからやって来る厳しい冬や夏を思い、今を惜しむという思いなのでしょう。

 

秋を惜しむ句として

 

秋をしむ

  戸に訪づるる狸かな   蕪村

 

晩秋の静けさが伺えます。